チェーンオイルの性能、実験してみました
暑さや台風も過ぎ去って、自転車で色々なところに出かけたくなる季節がやってきました。
走れば走るほど、チェーンの油は乾いたり飛び散ったり、時には雨で流されてしまいます。
自転車を気持ちよく走らせるためには、チェーンへの注油は欠かせません。
ワコーズのヘヴィユーザーであるスタッフ野村は、状況に応じてチェーンオイルを使い分けています。
そこで、チェーンオイルの違いについて、次のようなテストを行って探ってみました。
パレットにオイルを抽出して、時間の経過によって起こる変化を観察しました。
容器に抽出したオイルは以下の8種類。
右から
①ワコーズ チェーンルブ
②ワコーズ チェーンルブリキッド スピード
③ワコーズ チェーンルブリキッド パワー
④ワコーズ チェーンルブリキッド オリジナルブレンド(スピード3、パワー7)
右から
⑤ワコーズ チェーンルブリキッド エクストリーム
⑥ウェット系チェーンオイル
⑦ドライ系チェーンオイル
⑧ワコーズ ラスペネ
こんな感じで少し斜めにした台の上で時間をおいてみました。
1時間経過した際の様子がこちらです。
各オイルの粘度や添加剤の特製の違いが、流れ落ちる早さに現れています。
スピードとドライ系チェーンオイルは、粘度が低く薄い膜を作りながら、さらさらと流れ落ちています。
チェーンルブリキッドパワーはチェーンルブリキッドスピードと同じくらいの速さで流れていますが、残った油膜は厚めです。
チェーンルブリキッドパワーはトルク型のペダリングやヒルクライムを好む方と相性が良いのですが、この厚い油膜やチェーンにテンションがかかった時のクッションとして効果があるのでしょう。
一方で、チェーンルブについては、吹き付けた瞬間から成分が固まり始め、殆ど流れ落ちる事がありません。
エクストリームについては、オイルがさらっと流れ落ちた後に、ブツブツした成分が固まり始めている様子です。
続いて6時間が経過した際の様子をご覧下さい。
殆どのオイルが流れ落ちて、パレットにはチェーンオイルの油膜や添加剤の成分が残っています。
注目すべきは、2枚目の写真の一番右のエクストリームで、オイルが流れた跡は、ワックスでコーティングされたようになっています。
先日参加したブルベでは、20時間以上の雨の中を600km以上の距離を走行しましたが、エクストリームを塗布したチェーンはオイル切れを起こす事はありませんでした。
どうやら、このコーティングが撥水と耐久性のキモになっているようです。
というわけで、最後にこれでもか!というほど霧吹きで水を吹きかけてみました。
エクストリームは強力な撥水性を発揮しており、ヌルヌルとした潤滑を維持しています。
方やドライ系チェーンオイルは水こそ弾いているものの、乳化してしまい潤滑はあまり期待できそうにありません。
☆★ まとめ ☆★
<チェーンルブリキッド エクストリーム>
水をかけても落ちない、強力な皮膜を形成します。オフロードや荒天のロングライドなど、ハードなコンディションにベストマッチ。
余分なオイルを拭き取っても、皮膜は残るため、ウェット系チェーンオイルに比べるとチェーンを比較的綺麗な状態で維持できるのも魅力です。
<ワコーズ チェーンルブリキッド スピード&パワー>
こちらは一般的なウェット系チェーンルブと同様の使い方で良さそうですが、ポイントは油膜の厚さです。
ケイデンスとトルク、どちらを重視するかでスピードとパワーを使い分けてください。
とことん拘りたい方は、好みの油膜になるようにブレンドする事もできるので、スピードから始めて徐々にパワーを足して様子を見て使用するのもおススメです。
上り坂でダンシングを多用する私は、スピード3:パワー7のオリジナルブレンドを愛用しています。
<チェーンルブ>
今回の実験でも分かったように、吹き付けたら直ぐにオイルの性能が発揮されます。
また、「水置換性」を有しているため、クリーニングをして直ぐにチェーンに吹きかけても大丈夫です。
水などの不要な成分を追いやって、潤滑に必要な成分がチェーンに残ってくれます。
一晩寝かせてから重ね塗りするなどのマニアックな使い方から、手っ取り早く掃除と注油を済ませたい場合など、守備範囲が広く、迷ったらとりあえず選んでおいて間違いのない一本です。
<おまけ>
チェーンルブリキッドエクストリームは、耐久性抜群で汚れにくいという、夢のようなチェーンオイルですが、難点はその処置に手間がかかることです。
要点は、コーティングを有効に活かすために、古いチェーンオイルや汚れを徹底的に落とすことです。
洗浄には、ワコーズのチェーンクリーナーと、TIPTOPのマイクロファイバータオルがおススメ。
僅かに残ったクリーナーや水分を追い出すためには、ワコーズのラスペネを使用してください。
今回もチェーンオイルに混じってテストしてみました。
ラスペネの特徴は「水置換性」と浸透の早さです。ラスペネで余分な成分を追い出したら、エクストリームを1コマあたり、2滴ずつ注油を行って、待つ事6時間で皮膜の完成。
ちょっと面倒くささを感じるかもしれませんが、圧倒的な耐久性を体感してしまうと「それだけの価値がある!」と思えるようになります。