やってみようグラベルロードのカスタム
グラベルロードって何だろう?
以前にも紹介したとおり、「グラベルロードバイク」や「アドベンチャーバイク」と呼ばれる自転車、特定の使い方に的を絞っていないので、使い方、楽しみ方に合わせてカスタムする事でよりサイクリングの幅を広げてくれます。
そこで、今回はスタッフ野村が、相棒に選んだグラベルロード「NINER RLT9」の用途に合わせたカスタムを紹介します。
まず、私のグラベルロードの使い方ですが、簡単にまとめると次の4つです。
- 日々の移動、通勤をこなすコミューターバイクとして
- スピードを求めない、ロングライド、ツーリングバイクとして
- オフロードとオンロードをミックスしたライドに
- テントや食器などを積載するキャンプツーリングに
いずれも「グラベルロードでなければできない」という訳ではありませんが、そこそこスピードを維持できてかつオフロードにも対応できる、良い意味で中途半端なところがグラベルロードの魅力だと思います。
ドロップハンドルでブロックタイヤというと、シクロクロスバイクが頭をよぎるかもしれませんが、グラベルロードを使用したレースも行われており、最新のグラベルロードはメーカーのそれぞれの考えの基に独特の進化を遂げています。
下のMERIDAのシクロクロスバイク「MISSION」とグラベルロード「SILEX」のジオメトリー表(フレームの寸法)をご覧になればジャンルによる違いがお分かりいただけると思います。
数値を見ると、SILEXが低重心であると同時に、ハンドルがかなり高い位置にセッティングできる事が分かりますね。
続いて先日紹介したCinelli KING ZYDECOのジオメトリー表を見てみましょう。
どうでしょう?
KING ZYDECOは紛うことなく「グラベルロード」なのですが、フレームの寸法はシクロクロスバイクに近いものがあります。
キビキビとした操作感、軽快感を維持しつつ、独特のチェーンステー、ハンガー部分の形状を採用することで45mm以上の太いタイヤにも対応しているのでしょうね。
KING ZYDECOについてはこちらも参考に!
ちなみに、MERIDAのSILEXは部分的にマウンテンバイクの設計思想を取り入れる事でオンロード、オフロードでのハンドリングを最適化しようと試みている事が伺えます。
ジオメトリーの話題はこれ位にしておいて、大事なのはグラベルロードでは、45mmから50mmくらいまでの太さのタイヤを取り付ける事が可能な自転車が増えているという事です。自転車の乗り心地を良くするために、効果的な方法は何だと思いますか?サスペンションや振動を吸収する素材などが開発されていますが、手っ取り早いのはタイヤを太くして空気のボリュームを増やす事です。
もちろん、太いタイヤは重量も増えるので、重視したいスピード域、荷物の量、路面状況に応じてタイヤを選ぶ必要があります。
通勤仕様でよく使っているのは、シクロクロス用の700×32Cのタイヤで、フルフェンダーも装備して雨の日もばっちりです。オフロードの走行にも対応しているタイヤなので、未舗装路を含むツーリングなど、どんな道でも問題なく走ることができました。700×28Cでも走れない事はないのですが、タイヤが太ければ太いほど安心して走る事ができます。一方で乗り心地とグリップ力のトレードオフで舗装路での抵抗増は無視できなくなってきます。
私の感覚では舗装路の割合が50%以上なら32Cがベストバランスと感じています。
また、ディスクブレーキのフレームは700Cのタイヤだけでなく、27.5インチや650bというロードバイクでは馴染みのないサイズのホイール、タイヤを装着することも可能な場合があります。圧倒的な空気のボリュームが確保できるので、フワフワとした乗り心地は代えがたいものがあります。
先日ご案内したMARINのNICASIOには650×47のタイヤが採用されています。
テントや食材など荷物を積載する際にも太いタイヤのメリットは大きいと思います。
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一方で、きれいな舗装路を走行する分にはちょっと無駄が多く感じてしまうのも事実です。そこで、新たにツーリング、ロングライド用の”飛び道具”として導入したカーボンホイールには28Cのタイヤを装着しました。
選んだタイヤはVITTORIAのハイエンドタイヤ、CORSA CONTROLです。CORSAと同レベルのレーシングタイヤでありながら、石畳を走行するレースで耐えられるように作られた頑丈さも持ち合わせています。
基本的には舗装路を走るけれど、少し寄り道をしたり、林道のような路面状況が良くない、というシチュエーションでも安心して走れますね。
最後にギア比について。のんびり走る事が多いので、フロントは42Tのシングルギア、リアは11-42Tというワイドなスプロケットを採用しました。このギア比でも時速45kmくらいまでなら無理なく走れて、かつ巨大なローギアのおかげで激坂でもくるくるとペダルを回すことができます。
スプロケットはマウンテンバイク用のコンポーネントを採用しており、アルテグラのリアディレイラーでは対応しないのですが、WOLFTOOTHのロードリンクを使用して、RD-R8000で対応できるように改造しました。
今ならグラベルロード用のコンポーネントGRXシリーズのRX-RX812を使えばOKですね。
フロントシングルで気になるチェーン落ちについては、1,000kmで1回起こるかどうか、というくらいの頻度でしたが、どうしても気になるのでチェーンデバイスを導入しました。
グラベルロードは守備範囲の広いジャンルなので、使い方や走りたい場所に応じてカスタムすることで、どんどん自分の色に染めていけるのが面白いところだと思います。